ドメーヌ コンブ ブランシュ ラ シャンデリア 2020
石の多い粘土と石灰岩の土壌で、南西に3～5%の勾配の斜面に露出。荘厳なキャンドルホルダーのようなその名前(ラ シャンデリア)は、ブドウの木のコルドン ロワイア(仕立て方)の形に由来。
完全手作業の収穫後除梗しブドウを直接圧搾、果汁は別々に温度管理をしながら発酵。手作業によるピジャージュ(櫂入れ)の後澱引きし樽の中で15カ月間熟成。パワフルながら複雑で奥行のあるワインに仕上げている。
テイスティング コメント
紫、ガーネットの色調。香りはブラックベリーやプルーン、スミレのアロマにシナモン、クローブなどのスパイスのノート。続いてモカやチョコレート、木樽由来のロースト香。タバコや皮革などの香りも現れる。口に含むとしなやかでベルベットのようなテクスチャー。力強さと繊細さを兼ね備えた美しいフォルムが印象的で、野性味のある赤や黒の果実、甘草、スパイス、バニラの風味が渾然一体となる。アルコール度が高いが(15度)、そこは嫌みに感じることがなくエレガント。バランスの良さが光る味わい深い一本。
合う料理 仔羊・鴨肉のロースト、ジビエ、レバー、コック オヴァン(雄鶏の赤ワイン煮込)など。
2024年8月試飲
ドメーヌ コンブ ブランシュ
1981年、ガイ ヴァンランカーは当時ベルギー人の若い教師でした。アルデンヌの霧から逃れ、運命は彼をラ リヴィニエールの美しいブドウ畑に導きました。ここはラ リヴィニエール村の北3 km (ベジエまで50 km、カルカッソンヌまで35 km)、カラミアック集落の斜面にあるゴツゴツした岩がせり出したカルスト台地の端、ブラックマウンテンの麓のクリュ ラ リヴィニエールの高台です。ガイはその年に6.5haのブドウ畑と10.5haの低木地を含む17haの敷地を購入しました。その後、彼は別の地域でワイン労働者として働きながら、自分の土地を耕し、開拓していきます。シラー、グルナッシュ、カリニャン、サンソーなどこの地域特有のブドウに加え、1983年から1986年にかけてピノ ノワール、テンプラニーリョ、ヴィオニエ、ルーサンヌを次々に植えました。コンブ ブランシュは常識にとらわれない自由な発想で、アバンギャルド(前衛的)なワイナリーとなりました。
ガイは北側に露出した斜面のやせた土壌の区画にピノ ノワールを植えました。この区画は地中海原産のブドウにとっては涼しすぎるが、ピノ ノワールにとっては必要な条件が揃っていると考えたのです。当時、このエリアでピノ ノワールを生産するドメーヌはほとんどなく、同業者から度々「Why?」と聞かれました。一見物好きのように見えましたが、それは誤解でした。最適な成熟を可能にするよう、高いエスパリエ仕立てを採用し、豊かな果実味と鮮やかな色彩を見事に表現。この区画でできたピノ ノワー ルのワインは「Why Not?」と名づけられました。また、スペインでよく生産されているテンプラニーリョもここではかなり珍しい品種です。「カラミアック テロワール テンプラニーリョ」について、彼は「このフランスのテンプラニーリョは、その個性から、非常に珍しく傑出したワインです。その良く表現された構造は、繊細さが詰まっており、私たちのテンプラニーリョがこの山に愛されていることを知るでしょう。」と語っています。
勉強熱心なガイは、他のワイナリーで働きながらブドウの育成と醸造技術を身に着けました。そして1988年コンブ ブランシュとしての初のヴィンテージが、アシェット ワインガイドで なんと星2つを獲得。その後ようやく自分のワイナリー建設が完了し2000年にブドウの栽培とワインの生産だけに専念するという夢が叶いました。 現在の生産面積は、ミネルヴォワAOC(6ha)、ミネルヴォワ ラ リヴィニエールAOC(2ha)、ヴァン ド ペイ デ コート デュ ブリアン(4ha)を含む12haに拡大しました。テロワールは主に粘土石灰岩の土壌で、いくらかごつごつした石が混ざった土壌で構成されており、「アンフェール」 (フランス語で地獄を意味する)の区画は泥灰土の特徴があります。標高は海抜200～330mで、中程度の勾配があり、日照にも恵まれています。気候は主に地中海性気候で、夏は非常に暑く、降水量は少なめ。セルスという北から吹く風は、ブドウ畑を良好な衛生状態に保つのに役立っています。これらすべての気候条件は、ブドウの木の病気を防ぎ高品質のワインの開発に貢献します。
ドメーヌ コンブ ブランシュは低収量でブドウを生産しているため、ワインは豊かな風味と優れた濃縮感が特徴です。ラングドックエリアの平均収量は50～60hl/haで、コンブ ブランシュの収量は平均約30hl/ha。約半分です。ミネルヴォワとラ リヴィニエールの赤ワインは、シラー、グルナッシュ、カリニャン、 サンソーといった伝統的な南仏のブドウ品種からブレンドされています。各品種は個別に醸造および熟成され、一部はオーク樽で、一部はバットで熟成。その後ブレンドして瓶詰めされます。一方、単一品種のピノ ノワール、サンソー、テンプラニーリョはIGPとして瓶詰めされています。収穫は完全手作業、醸造は伝統的なスタイルでパンチダウンやポンピングオーバーによる長時間発酵を採用しています。ドメーヌは2021年から有機農業の認証を取得しており、同年、アンブロワーズ(ガイの息子の一人)によるワイナリーの引き継ぎ、セラーの修復、そしてより高い品質を目指してブドウ畑の再構築を行うなど、大きな進化を遂げています。
