Saint-Aubin 1er Cru
Les Perrières
/Domaine Henri Prudhon & Fils

アンリ プリュードン　サン トーバン　プルミエ クリュ　レ ペリエール　2023

サン トーバンの北東側に位置する東南東向きの0.54haの畑。樹齢は45年を超える。フルボディのリッチで複雑なワイン。ボリュームのある魚や白身肉との相性が良い。醸造・熟成：バリックで発酵、10ヶ月(新樽25%)熟成

テイスティング コメント

外観は、微かにグリーンがかったストローイエロー。香りは、火打石やスモーキーなミネラルのノートが印象的で、次第にグレープフルーツやオレンジの花の芳香が重なる。さらに、トーストしたアーモンドやナッツ、ジンジャーブレッドの香ばしいニュアンスが複雑さを加え、微かに蜂蜜の甘やかさも感じられる。味わいは力強く芳醇。ボディがしっかりとしたリッチなワインで、柑橘系の爽やかな酸味がバランス良く調和している。バックボーンには豊富なミネラル感、しっかりとした骨格を支え、フレッシュな酸味が全体を引き締める。余韻は長く、複雑さと奥行きを感じさせる素晴らしい仕上がり。

合う料理　海老料理、白身魚のバターソテー、鶏肉料理、フォアグラ、天ぷらなど。

2025年6月試飲

アンリ プリュードン

“隠れた宝石”サン トーバン

ブルゴーニュ地方 コート ド ボーヌの南部、ピュリニー モンラッシェとシャサーニュ モンラッシェの谷奥、標高の高い斜面にひっそりと広がるサン トーバン村は、冷涼な気候と粘土石灰質土壌から生まれるミネラル感としなやかな酸が特徴の、まさに“知る人ぞ知る”テロワールです。

この土地は、長らく隣接する有名村の陰に隠れ、過小評価されてきた歴史があります。しかしその分、ネゴシアンの手があまり及ばず、小規模で誠実な造り手たちが、自らの畑と向き合いながら静かに腕を磨いてきました。近年では、マルク コランやユベール ラミーといった生産者の活躍によりその評価は徐々に高まり、サン トーバンは今や“コート ドール最後の秘宝”とも称される存在になっています。

そんなサン トーバンの魅力を、何十年も前から地道に、そして誠実に体現してきたのがアンリ プリュードンです。ドメーヌの創設は20世紀半ば。1983年に自社での瓶詰を開始するまでは、収穫したブドウをネゴシアンに販売していました。現在は三代目、ヴァンサンとフィリップ兄弟が舵を取り、14.5haの畑を管理。年間約90,000本のワインを生産し、そのうち実に85%が海外に輸出されています。

彼らのワイン造りは、サン トーバン本来のエレガンスを大切にするものです。収穫は手摘みで丁寧に行われ、空気圧プレスによる穏やかな抽出、そして自然な流れでのアルコール発酵とマロラクティック発酵を経て、新樽の使用も最大で1/3にとどめられます。過度な樽香やボリューム感ではなく、畑の個性をそのまま反映した、しなやかでバランスの良い味わいが、飲み手の心に静かに響きます。

彼らのワインは、ピュリニーやシャサーニュのような派手さはありません。しかし、飲むたびに「これが本来のサン トーバンの姿だ」と気づかされるような、奥ゆかしくも芯のある魅力に満ちています。

著名な評論家たちもこのドメーヌの価値を見逃していません。

アラン メドーは「このドメーヌの一貫した功績は非凡である」と評し、ロバート パーカーはその著書『バーガンディー』で「マルク コランやユベール ラミーと並び、才能豊かで熱心な作り手」として紹介。ジャスパー モリスMWも「サン トーバンにおける象徴的なドメーヌ」と賛辞を送っています。

価格高騰が続くブルゴーニュの中で、今なお真摯な姿勢で手頃な価格帯を守り続けるアンリ プリュードン。そのワインは、グラスの中で控えめに、しかし確かに語りかけてきます。 それは、サン トーバンという村の静かな誇りであり、ブルゴーニュの本質を物語る、真の“隠れた宝石”なのです。