産地:ドイツ ラインガウ
品質分類 原産地呼称:Q.b.A. VDP.グーツヴァイン
栽培方法:オーガニック(ユーロリーフ認証)
品種:シュペートブルグンダー100%
タイプ:赤ワイン ミディアムボディ
アルコール度数:12.5%
容量:750ml
プリンツ シュペートブルグンダー トロッケン グーツヴァイン 2021
Spätburgunder Trocken
Gutswein
/Weingut Prinz
プリンツ シュペートブルグンダー トロッケン グーツヴァイン 2021
プリンツ こだわりのシュペートブルグンダー
ヘンデルベルクの若い葡萄を使っています。非常に葡萄がよく熟す場所にあり、土壌は珪岩とスレートが多く、レス(黄土)とローム質です。畑の向きは南東~南西向き、斜度は15~25%です。熟度の高い葡萄を得るため、強めの剪定を行ない、グリーンハーベストします。フレッシュさを出すために除梗します。選別酵母を使い、伝統的な開放式のタンクで、10~14日間発酵させます。225Lと600Lの5~6回使用樽で、12ヶ月熟成させます。樽が出過ぎないよう、古い樽を使っています。しっかりとした酸、かすかに土っぽいニュアンスが感じられます。「さくらんぼのような赤い果実の香りが特徴」とフレートは話していました。
テイスティング コメント
透明感のあるルビーの色調。香りはフルーティーで、熟したチェリーやラズベリー、プラムなどの果実香、さらにシナモンやナツメグなどのスパイスのニュアンス。他に紅茶、下草、土っぽい香りなど。口に含むと、フレッシュでジューシー。伸びやかな酸味が心地よくフレッシュさを保ちながらも全体のバランスを整えている。風味にはチェリーやラズベリーのフルーツ感が中心となり、次第にスパイシーなニュアンスが顔を出す。タンニンはやさしく軽やかな口当たり。余韻も長くエレガントに仕上がっている。
*ボディ・・・インポーターの表記はフルボディですが、私的にはミディアムボディ。軽やかでエレガントな飲み心地。
合う料理 牛・ラム肉のグリル、鴨のロースト、ポークのハーブロースト、トリュフを使ったパスタなど。
2024年12月試飲
ヴァイングート プリンツ
フレート プリンツという名の生ける伝説
1970年生まれのフレート プリンツは、1991年に趣味でワイン造りを始めてからわずか数年の間に、ラインガウのワイン造りに重要な変革をもたらした人物として知られるようになりました。1995年、シュタインベルガーで名を馳せたクロスター エーバーバッハ醸造所での勤務を開始すると、かつての名声を失いつつあった、当時のワインのスタイルを変更するよう助言しました。ワインに甘みを残すためにズースレゼルヴ(発酵前のブドウ果汁)を加える手法ではなく、シュタインベルガーが持つ特別な土壌の個性、ミネラル感を最大限に引き出す努力を行ったのです。この功績が認められたフレートは、2002年にケラーマイスター(醸造責任者)に就任したものの、2004年9月に醸造所を退社。その理由は、ハルガルテン村にある自身のワイナリーに専念するためでした。
ハルガルテン村で生み出される極上のワイン
フレートは、その才能を自身のワイナリーでも発揮します。独立して間もない2005年1月には、厳しい認定条件を持つVDP(ドイツ優良ワイン生産者協会)への加入が認められ、同年より、クロスター エーバーバッハのオークションでも彼のワインが競売にかけられるようになりました。ドイツの著名なワインガイドのひとつ、『アイヒェルマン 2019』では4星を獲得し、同年の『ヴィヌム』で3.5星、『ゴーミヨ』で3房を獲得。フレートが造る珠玉のワインは、生産される前に予約で埋まってしまうほどです。しかしフレートは、「私は”ワインメーカー”ではない」と言います。「品質が最高値なのは収穫直前だ。収穫した葡萄に、ワインメーカーが手を加えれば加えるほどワインの品質は落ちる。つまり、畑仕事が何より大切ということだ」。
2009年からオーガニック農法を選択し、2018年には公式にビオディナミを開始。有機栽培は「マーケティングのためではなく、品質向上のため」だと強調します。当初5haだった畑は、現在9haまで拡大しましたが、ワイン造りの哲学は変わっていません。「ハルガルテンのために良いことをしていきたい。それが嬉しいし、夢だった。だから中途半端なことはしたくない」とフレートは語ります。2017年の「ジェームズ サックリング.com」によるレポートでは、ラインガウの400本近いワインを試飲した中で、唯一100点を献上されたのがプリンツの「ユングファー リースリング アウスレーゼ ゴルトカプセル 2015」でした。また、「ヘンデルベルク シュペートブルグンダー レゼルヴ トロッケン 2012」が97点を獲得。同記事では、「フレート プリンツが、我々のレポートの中で最高評価の甘口ワインと赤ワインを生産したという事実は、ラインガウの最近の発展について多くのことを述べている」と紹介されています。彼が造り出すワインは、かつて勤務した州営ラインガウ醸造所のワインの質を明らかに上回り、多くのドイツワインファンを驚かせることは間違いありません。しかしながら残念なのは、あまりに量が少ないことです。
シュペートブルグンダーへのこだわり
昔はリースリングしか造りたくないと思っていましたが、今は赤ワインにはまっています。1986、1991、1992年に、シュペートブルグンダーを植樹。2004年に植えた時には、いくつかのブルゴーニュの特別なクローンを選びました。より力強さが出て、色が濃くなります。全体の5%まで畑を増やしましたが、これ以上大きくするつもりはありません。現在ドイツの気候は15年位前のブルゴーニュ並みになっています。収穫は熟し過ぎない内に行うよう心がけています。赤は最低1年熟成させてから飲んでほしいと思っています。
シュペートブルグンダーは、8月に色付きが始まりますが、その時期に色が付いていないものは間引く必要があります。収穫時期にはどれも同じ色をしていて、熟度が異なるものの見分けがつかなくなってしまうからです。ハルガルテナー ヘンデルベルクは、1枝に対し2房に制限しており、熟しを早くするためさらに房の1/3を切ってしまいます。そのため、収穫量は30~40hl/ha程度になり、集約感のある葡萄から、力強いスタイルのワインが生み出されます。一方、スタンダードクラスは、間引きの比率は低いため収穫量は60 hl/haで、スムーズでエレガントな特徴があります。「他のエリアと比べて、ラインガウのシュペートブルグンダーには酸があり、太った感じはなく、ミネラル分がある。したがってアルコールがあっても軽やかになる」とフレートは語ります。