産地:フランス ブルゴーニュ地方 コート ド ボーヌ地区
品質分類 原産地呼称:A.O.C.サン トーバン プルミエ クリュ
栽培方法:リュット レゾネ
品種:シャルドネ100%
タイプ:白ワイン 辛口
アルコール度数:13.5%
容量:750ml
Saint-Aubin 1er Cru
En Remilly
/Vincent Girardin
ヴァンサン ジラルダン サン トーバン プルミエ クリュ アン レミリィ 2020
「アン レミリィ」は、偉大なる特級“モンラッシェ”と同じ斜面の延長線上、特級シュヴァリエ モンラッシェと程近い場所にあり恵まれた好立地!サン トーバンの一級畑としては最も評価の高い区画。
プルミエ クリュ「レ ミルジェ デ ダン ド シアン」の下部に位置する、南向きのなだらかな斜面にあります。表土は粘土石灰質、下層土は様々なタイプの石灰岩の層(砂利やマール)で構成されています。収穫は畑で選別しながら手摘みで行います。プヌマティックプレスを使い、低圧でゆっくりと圧搾します。ラッキングした後、500Lのフレンチオーク樽(新樽10%)に移します。天然酵母を使いアルコール発酵、マロラクティック発酵を行ないます。熟成は澱とともに15ヶ月行います。瓶詰めの1ヶ月前に樽からタンクに移しブレンドします。清澄し、軽くフィルターをかけてからボトリングします。月のカレンダーに従い、フレッシュさとミネラルが得られるように「果実の日」に行ないます。口当たりはボリュームがあり、豊かなミネラルを感じます。白い花や柑橘系の果実のフレッシュな香り、研ぎ澄まされたきれいな酸、長い余韻があります。
テイスティング コメント
外観は輝きのあるペールイエロー、微かにグリーンのトーン。香りはレモンやグレープフルーツの爽やかなアロマ。そしてアカシアやジャスミン。ミネラル感が強く、火打石や岩のニュアンスを感じる。さらにローストしたアーモンド、バター、シナモンの香りが続く。口に含むと、クリーミーでなめらか。生き生きとした酸味、果実味が豊かで、ジューシーな青リンゴ、シトラスの風味が際立っている。堅固なミネラルが心地よい緊張感をもたらし、しっかりとした構造。温度の上昇と共にオイリーさが増していき、ふくよかさや厚みを感じる。余韻にはナッツ、ハーブのニュアンス。飲み応えがありながらも洗練されている。
合う料理 白身魚のグリル、鶏肉のクリームソース煮、天ぷら、シーフードパスタ、クリーミーなチーズなど。
2024年11月試飲
ヴァンサン ジラルダン
近年のブルゴーニュにおけるトップ ドメーヌのひとつとして評価
醸造家エリックによる新しい体制がもたらす最高品質のワイン
ヴァンサンが引退し畑と会社を売却。危機を乗り越え、生まれ変わった「新生ヴァンサン ジラルダン」
2012年、設立から30年を迎えたドメーヌ ヴァンサン ジラルダンに、重大な事件が起こりました。ワイナリーを立ち上げたヴァンサンその人が、体調の不良と後継者の不在から、ドメーヌを手放してしまったのです。同時に自社畑の多くを売却し、ワイナリーに残されたのは最新の醸造設備と、ほんのわずかな自社畑と、醸造家エリックを初めとする優秀なスタッフたちだけでした。幸いにも、新たなオーナーはドメーヌを買い取っただけで、ドメーヌの運営体制はそのまま維持する形をとりました。それどころか、ヴァンサンの右腕として醸造家を務めていたエリック ジェルマンを、畑や醸造に関わる全ての部分でトップに就任させたのです。実は、ヴァンサン ジラルダンのワインが現在のような評価を獲得したのには、エリックの功績が大きくかかわっています。その評価は、ヴァンサンがいた頃よりもむしろ高いほどです。
ヴァンサン時代の濃厚なスタイルの終焉――エリックが「ピュアでエレガントな」スタイルを完成させる
エリックがヴァンサンと知り合ったのは、今から20年ほど前のことです。ヴァンサンからスカウトされる形で2002年にドメーヌに正式に加入します。その当時、ロバート パーカー等の評論家から絶賛されていたヴァンサンのワインは、「濃厚で、はちきれんばかりの果実味がある」スタイルでした。しかし、エリックはこのスタイルを大きく変更する必要があると感じていました。2004年頃からその方法を模索し始め、ついに2007年に新しいスタイルが完成しました。それが、今のドメーヌ ヴァンサン ジラルダンを象徴する「ピュアでエレガント」なスタイルでした。
エリックの実家は、有名なアンリ ジェルマン ペール エ フィス。ムルソーに生まれ、ムルソーを人一倍愛するエリックは、醸造学校を卒業した後、シャサーニュ モンラッシェや、パプ クレマンで経験を積み、後にブルゴーニュを拠点とする「バーガンディア醸造研究所」での勤務を開始します。そこで幸運にも、キリアコス キニゴプロス氏の教えを受けることになります。キリアコス氏は当時DRCやルフレーヴ、エティエンヌ ソゼ等の醸造コンサルタントを行っていました。その時のことを、エリックは『ヴィニュロン』誌の2015年秋号で次のように語っています。「私は本当に運が良かった。ダヴィド デュバンやジョルジュ ルーミエのようなワイン業界のビッグネームで、3年間の間、毎年40もの醸造経験を積むことが出来たんだ。そして今ではヴァンサン ジラルダンで働くことが出来ているんだから」。また、以前までと同様に輸出部長のマルコ カスケーラが販売を担うことで、エリックがさらにワイン造りに集中できる環境が整っています。こうして、「エリック率いる新生ヴァンサン ジラルダン」がスタートしました。
『ワイン アドヴォケイト』においてトップ ドメーヌと同等の評価。
2017年のバタール モンラッシェが同年同銘柄の中で最高得点を獲得!
2012年に突如として訪れた危機を乗り越えた「新生ヴァンサン ジラルダン」は、その後瞬く間にドメーヌの地位を押し上げ、今やブルゴーニュを代表するトップ ドメーヌのひとつとして評価されるまでに至りました。それまでのような「コストパフォーマンスの高い生産者」としてではなく、「最高品質のワインを造るドメーヌ」として認められたということに大きな意味があります。『ワイン アドヴォケイト』は、ヴァンサン ジラルダンの2017年のバタール モンラッシェに、エティエンヌ ソゼと並ぶトップ タイスコアの96点を献上しています。ラモネとオリヴィエ ルフレーヴが95+点、フォンテーヌ ガニャールが95点、マルク コランが94+点を獲得し、ドメーヌ ドーヴネが95-97点、ピエール モレが94-96+点、ルフレーヴが94-96点の暫定評価を獲得している中での快挙です(2020年9月11日現在)。この評価は、ドメーヌ ヴァンサン ジラルダンの中でも歴代最高得点となっており、ヴァンサン時代には成しえなかったエリックの功績といえます。こうした近年のワイン造りは、グラン クリュ、プルミエ クリュなどの高級ワインだけでなく、マイナーなアペラシオンやAOCブルゴーニュなどのスタンダードクラスにもしっかりと反映されています。
『ベタンヌ+ドゥソーヴ2019』で4ツ星、『ル ギド デ メイユール ヴァン ド フランス2021』で2ツ星に昇格。
近年、エリック ジェルマンを筆頭に新たな道を歩み始めたヴァンサン ジラルダンは、これまでと変わらないばかりか、さらに素晴らしいワインを造っていることが、多くのワインガイドで次々に賞賛されることとなりました。フランスのワインガイド、『ベタンヌ+ドゥソーヴ』の2019年版で、ヴァンサン ジラルダンが4ツ星(最高は5ッ星)生産者に昇格したのです。この評価は、ドメーヌ デュジャックやドメーヌ ルフレーヴ、ドメーヌ コント ジョルジュ ド ヴォギュエ、ドメーヌ ロベール グロフィエ ペール エ フィス等の生産者と並ぶものでした。さらに同ガイドの2020年版でも4ツ星を維持し、「偉大なブルゴーニュ ワインを知らない人は、この造り手によってそれらの公正な概念を獲得することが出来る」と評価されています。
また、『ル ギド デ メイユール ヴァン ド フランス2021』で2ツ星(最高は3ツ星)に昇格し、ボノー デュ マルトレイやエティエンヌ ソゼの他、セシル トランブレイ、ピエール イヴ コラン モレ、マルク コランなどの著名な生産者と肩を並べています。同誌では2017VTの評価が掲載されており、バタール モンラッシェとビアンヴニュ バタール モンラッシェがともに98点、モンラッシェとムルソー プルミエ クリュ ペリエールが96点と高評価を獲得しています。さらに、アメリカのワインガイド、『ワイン&スピリッツ』の「TOP 100 WINERIES OF 2019」に選出されるなど、その勢いは留まるところを知りません。
「私達はいわばテロワールの番人。畑に出て作業することは田舎では常識さ!」
エリック ジェルマンのコメント(『ヴィニュロン』2015年秋号より) エリックは、葡萄畑での仕事を何よりも重要だと考えています。自社で管理する葡萄畑はもちろん、契約農家からの買い葡萄についても殺虫剤や除草剤を使用していません。エリックは『ヴィニュロン』誌で、「以前、畑の管理が十分でないと私が判断した農家との商談を断ったことがあるよ。彼らが持っていた畑がどれだけ素晴らしいアペラシオンだったかということは関係なしにね。契約農家であっても、葡萄を買う時は、オーガニック、もしくはそれに近い形で栽培されているという事を大切にしているんだ」と語っています。ヴァンサン ジラルダンのすべてのワインは、この哲学のもとで造られています。エリックは醸造だけではなく、自ら畑を周り、「良いワインは畑から」の哲学を貫いています。こうして育てられた葡萄は、その土地のテロワールを浮かび上がらせる「ピュアでエレガント」なワインとして多くの方に親しまれています。また、ヒュー ジョンソン「ポケット ワイン ブック2019」で赤★★から★★★生産者へと昇格し、『ムルソーを本拠地とする白ワインのスペシャリスト』と掲載されています。